近視の人は、眼の中に入った光の屈折率が強く、網膜に届かず、網膜の手前で光のピントが合ってしまう状態となり、遠くのものがぼやけるという現象が発生します。これを屈折異常といいます。
人間の眼は、水晶体を厚くしてピントの位置を合わせます。水晶体は毛様体との間にあるチン小帯という組織で引っ張られています。近くを見るときは毛様体が緊張して縮むことにより水晶体を厚くして、屈折力を強めます。そして遠くを見るときは毛様体の緊張がなくなり、水晶体が薄くなり、屈折力が弱まります。
長時間近くを見ていると常に毛様体が緊張していることになるため、遠くを見てもなかなか緊張が解けず、水晶体が厚いままで屈折力が強い状態でピントが合わない状態が続くことになります。この状態が続くとやがて毛様体の緊張が緩むことが無くなり、近視となるのではないかと考えられます。近視の初期の段階である仮性近視であれば長時間近くを見続けなければいずれは直ってしまいます。
近視は通常20代前半で進行が止まります(最近はパソコンなどの普及により成人以降も近視が進むことがあることが報告されています)。近視には大きく分けて2つのパターンがあります。
ひとつは、「屈折性近視」といい、角膜・水晶体の光の屈折力が強いためにピントが合わなくなる。
もうひとつは、「軸性近視」といい、角膜から網膜までの眼軸長が長いためにピントが合わなくなる。
多くの場合は、この2つの要素を併せ持つ場合が多いようです。
眼の良し悪しは、ランドルト環というアルファベットのCのようなマークの切れ目を見つける視力検査の数値を基準に判断するのが広く知られています。視力検査では5メートル離れたところで7.5ミリの直径で1.5ミリ幅の円に切れ込みのあるランドル環を認識できる視力を1.0とし、そしてその10倍の75ミリの直径のランドル環を0.1と定めています。
この視力検査はしかし、近視などの屈折異常を測定するにはこの値は適していないのです。
近視の程度は−3D(ディオプター)などというような近視度数で表します。数字がマイナス方向で大きくなればなるほど近視は強くなります。また、プラス方向に大きくなると遠視が強いということになります。近視度は4つに分類され、0から−3D未満までを軽度近視、−3Dから−6D未満までを中等度近視、−6Dから−10D未満を強度近視、−10D以上を最強度近視としています。
近視度と視力の関係は、近視度±0Dの人の視力は1.0から1.2。−1Dの視力は0.5程度。−2Dの視力の人は0.1となり、−2Dを超える度数となると視力では0.1以下となりほとんど対応できなくなります。
自分の近視度数を知るには本を手に持ち、腕を伸ばしてから、徐々に近づけてゆき、文字がはっきり見えた地点の位置から目までの距離をセンチメートル単位で求めます。そして、100を今計った距離で割って得られた値に−Dをつけたものがあなたの近視度数になります。例えば50センチメートルの位置で文字が見えた場合100÷50=2。すなわち近視度数マイナス2Dとなります。
見える位置が100センチなら−1D。50センチなら−2D。25センチで−4D。12.5センチで−8Dとなります。
なぜ眼鏡やコンタクトレンズをかけるとよく見えるようになるのでしょうか。
近視用の眼鏡やコンタクトレンズは凹レンズと言う中央がへこんだレンズを使用しています。
凹レンズには、光線を広げる方向に屈折させる性質があります。これを眼の前に置き、眼に入ってくる光の方向を変化させることによって、網膜上でピントが合うように調節しています。