遠視も近視同様屈折異常です。
近視は網膜の手前でピントが合ってしまうというものでしたが、遠視はその逆で、レンズ(角膜・水晶体)の屈折力が弱いか、角膜から網膜までの軸長が短いためにピントの位置が網膜の後ろで合ってしまう状態のことを言います。
遠くを見ていて平行に入ってくる光のピントが網膜の奥で合ってしまうわけなので、近くを見ていて広がりながら入ってくる光はさらにぼやけてしまいます。近視と異なり、近づけば近づくほどぼやけ方がひどくなります。
遠視の方は自分の眼の毛様体筋を緊張させて水晶体を厚くしないと遠くも近くもピントが合いません。若い方の場合、自分で毛様体筋を緊張させてピントを変える力が豊富なので無意識のうちに調節をして、遠視でも遠くも近くもピントを合わせてしまいますので、見えにくさを感じることは少ないです。
ただ、絶えず目の調節を必要とすることにより目と体が疲れやすく、集中できないため学習や仕事の能率があがらない場合が多いです。
人間は生まれながらに1.0〜1.5もの視力を持ち合わせているわけではなく、生後6ヶ月の乳児では0.04〜0.08、1歳で0.3程度の視力しかありません。その後、2歳で0.5〜0.6、3歳で0.8、7歳以降になって成人と同等の1.0〜1.2の視力に達します。
人間は生まれたときは遠視なのです。これは生後すぐは眼球の大きさが小さく、眼軸が短いためです。発育につれて眼軸と屈折力の関係が正常になり、やがて小学生くらいまでに成人と同じ視力を獲得します。
レーシック手術では近視の場合、角膜のカーブを平坦化して屈折力を弱める手術をおこないますが、遠視の場合はその逆で、角膜のカーブを急にすることで屈折力を強め、網膜の先で焦点が合わさっていたものを網膜上でピタリと合うように手術を行います。